コルカタの聖テレジア マザー・テレサ その二
マザー・テレサが始めた神の愛の宣教者会は最も貧しい人々のために働くという使命のもと、そこに仕えるシスター達は、そういった彼等と気持ちを分かち合うため自らも清廉で清貧であるということを厳しく律するよう求められました。
そこには日本を始め世界中から本当に沢山のボランティアが集っていますが、マザー・テレサが彼等に常々伝えていた言葉があります。
それは五本指の教えと言われる、You did it to me という言葉でした。
この世のなかには、肉体的にも精神的にも満たされていない人達があなたの周りにも居ます。
重い病気に肉体を冒されている人、家もなく毎日の食事も満足に食べることが出来ない人、生まれつきの障害を抱えて一人では生きていけない人、親に見放されて愛に飢えている人、孤独にさいなまれている人、何故自分は生まれてきたのだろうと人生の暗闇のなかでもがき苦しむ人、そういった人達にもしも接することが出来た方達は、何と幸いな人達なのだろうかと思います。
マザー・テレサは言います、そういった人達に尽くすということは、実はイエス・キリストに尽くすことと同じだったのです。
あなたの目の前に現れた彼等は、イエスの身代わりとなって苦しみを背負った人達だったのでしょう。
自分は今、あるご縁があってハンディを背負った方達のお世話をさせていただく仕事をしていますが、一見端から見れば、自分がその人達の介助をしているように見えても、実は介助をするという行為を通して、彼等から自分自身が、心の部分で本当に色々なことを学んでいるという事をつくづく実感しています。
介助をして貰っているのは、実は己の魂だったのです。
人には肉体と精神が備わっており、精神にはいろんな感情が沸き上がって来るのですが、障害を持った方達は、実は自分自身の感情を炙り出す鏡だったのです。
マザー・テレサは世界中からやって来たボランティアの人達に最初に必ず伝えている事があります。
それは、あなた達はボランティアをしに此処へ来たのではないですよ、あなた方自身がボランティアをされるために来たのです、と。
世界に目を向けると、途上国では、恐ろしい程の貧困に苛まれている人達が居ます。
それに比べてイーロンマスクやビル・ゲイツ、ジェフベソス等のGAFA 勢を初めとする世界の富豪トップ10は、コロナ禍以降、何と資産が倍増しています。
しかし彼等の誰一人として、あの世に只の一セントさえ持っていくことが出来ません、たとえ彼等が何千億ドル稼ごうともです。
彼等が唯一持って行けるのは、己の魂と共にその想い、そして彼等が生前肉体を以て何をしたかという人生で体現したことだけです。
続く
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