ある最狂カルト集団の思い出 その一
これも結構前の実際にあった出来事です。 自分のやっていたお店に一風変わったいでたちのお客さんがフラリと見えました。 彼はその時、普通のお客さんが通常買うような量よりも沢山の雑貨を買っていかれました。 それから一月程たったある日のこと、その人がまた突然お店にやって来て、曰く、自分は実はNGY市のKIDというところで風呂屋をやっており、そこの二階でかみさんが喫茶店をやっているんですが、喫茶の横のスペースで刀剣の販売もしているんだけど、あまりにも高くて誰も買わないんです。 ものは相談なんですが、マスター(自分のこと)のお店にあるような雑貨を売りたいんだけれど、卸価格で出してもらえないでしょうか? と持ちかけられました。 自分は即座に、値段が合うのであれば出来ますよ、と返答し、それから彼との付き合いが始まりました。 その後、月に二回ほどは来てくれたでしょうか? 自分も何度もそのKIDのお店まで配達にも行かせてもらい、そちらの方へ行った折りには喫茶店へ寄ったりもしました。 その様な関係が一年位続いたある時、何時ものごとく店に来ていた彼が、突然こう切り出しました。 マスター、あなたの人生が全く変わるような体験をしてみたくないですか? 一週間ぐらい休んでもらわないといけないけど、あるところへ僕と行けばきっと人生観が変わるような経験が出来ますよ、と。 ん、なんなんだろう? と一瞬は思いましたが、彼が詳しいことはハッキリとは言わなかった事と、一週間もの間店を休むことは絶対に無理だと思い、その場で丁寧にお断りしました。 その後も彼がお店に来る度に、何度かは誘われたものの、その都度お断りしているうち、段々と彼の足は遠退いてゆき、いつしかお店には来なくなりました。 それから一年か二年か、ハッキリとは覚えていませんがどれくらい経ったのでしょうか? 自分もNGY市のKIDへわざわざいく用事もなくなり、すっかり彼の事は忘れていました。 続く