コルカタの聖テレジア マザー・テレサ その四

日本における人工妊娠中絶の届け出件数は、1981年の時点で、約600,000件でした。

果たしてこの数字を多いとみるのか、少ないとみるのかは人それぞれですが、マザー・テレサは来日した折に、自分の授かった子供を中絶して(殺して)しまう女性達が多くいることをたいへん憂慮して、未婚の母と見捨てられた子供たちの為の「子供の家」を1981年、東京都内江東区に設立しています。

アメリカに於いては、人工妊娠中絶賛成派と反対派が数十年前からお互いの主張を繰り返して激しく対立しており、賛成派は主に民主党支持者、反対派は多くが共和党支持者とはっきりと別れています。

アメリカという国は、それぞれの州が独立した国のように州法を持っていて、州別で見るとニューヨークを中心とした東側の州とカリフォルニアを中心とした西海岸の州を除いて、どちらかと言えば中絶反対派の州が多数派を占めており、都市部で民主党のリベラル派と、地方(田舎)の共和党保守派にほぼ別れています。

これは、言い換えると、プロ・チョイス or プロ・ライフの戦いで、女性が中絶を選択出来ることに賛同するのか、胎児の命を守ることこそが大切なのかといった価値観の対立とも言えますが、このブログ流的な言い方をすれば、宗教、精神性に重きを置くべきか、リベラリズム、唯物論的な思考に価値観を見いだすのかということになります。

さて、ここでマザーの言葉を載せておきましょう。

(マザー・テレサが亡くなった後を受け継いだ、シスター・ニルマナから、マザーの本を書くことを許された数少ない、日本人の五十嵐薫という方がみえますが、彼は自らも親を泣かせる経験をしたことから、不登校や悩みを持つ青少年達と共同生活を送る活動を始め、彼等とマザー・テレサの元でボランティア精神を学ぶ「インド心の旅」という活動を現在も続けておられます。彼の著書から一部を抜粋させて頂きます。)

私たちは一人ひとりが神様の子供であり、神様の手で創られました。
自らに似せて神が創造したのです。
胎児もまた、神の手によって創られたのです。
たとえ母親が忘れても、神があなたを忘れることはない。
堕胎は最大の平和の破壊なのです。
今私たちがここにいるのは、両親が生まれてくることを望んだからです。
もしも両親がそれをのぞまなかったら、私たちはこの世に存在していないでしょう。
しかし一方、数百万人もの命が、毎年母親の意思で殺されています。
母親が我が子を殺せるのなら、私があなたを殺し、あなたが私を殺すこともできます。
人々が簡単に殺し合えば、その後に何が残るでしょう。
何も残りません。
戦争と全く同じです。
だからこそ堕胎は最大の平和の破壊なのです。

マザーは堕胎することの罪を世界中に訴え続け、母親がその子を育てることが出来ないのであれば、私たちが世話をし、新たな親を探します、という手紙を世界中の病院や診療所、警察等に送って、少しでも堕胎をすることを防ぐ活動をしています。

日本において、「子供の家」をつくったのも、そういったマザーの確固たる想いがあったからです。

マザーの言葉を続けます。

「勇気をもって産みなさい。。
この世のなかには子供が欲しい人達がたくさんいる。
欲しくても恵まれない人達がたくさんいる。
その人達との間を、私が結んであげます。
それまでは、私たちがしっかりと育ててあげます。
だから絶対に、あなたの子供を殺してはいけません。」


続く










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