霊媒体質の人々 其の九 教祖

近代日本の宗教界において多大な影響を及ぼした存在に大本があります。


一般的には大本教と呼ばれていますが、正式名称は大本であり、明治期、京都に住んでいた初老の出口なおという市井の女性に艮の金神(うしとらのこんじん)と名乗る神が憑依したことからこの教団が始まりましたが、なおとその娘婿である出口王仁三郎によって後に正式に教団が発足する事となりました。


なおにはお筆先(「いわゆる自動書記)によって神示が伝えられ、王仁三郎には神憑り(いわゆる霊媒)によって神示が伝えられていました。


王仁三郎には「霊界物語」なる口伝による八十一巻八十三冊にも及ぶ大著があり、人間の霊性について実に多種多様、多角的に登場人物や彼の言葉を通してつぶさに述べられています。


また、なおのお筆先と同じく、艮の金神からの自動書記によるメッセージで「日月神示」を下ろした岡本天明なる人物もまた神道家であったことから、彼等とは同じ系譜であると言えると思います。


天明も幼少期より霊が見えたり霊的な聴覚があったりした様で、彼に、突然本人の意味が分からないままに自動書記が降りてきたというのは、恐らく彼のお役目であったのでしょう。


当初、天明に降りた神示は漢数字の羅列や独特の記号、ほんの少しの仮名文字等々で書かれており、当の天明自身も書いていてさっぱり意味が分からず、当初これは低級霊の仕業なのではないかと非常に困惑していたそうです。


実は高次元からの霊示はこういった数字や様々な記号の羅列などによるメッセージが多く見られ、これは数霊などにもあるように一種の重要な霊界と人間界の伝達手段で、神界からのメッセージにはこのような形に重要な意味が含まれる場合が多いのです。


日月神示といえば十年以上前のことになりますが、ある大手の書店で中矢伸一校訂版の完訳「日月神示」を書棚で見つけた折りには、自分にとっては当時結構な買い物でしたが、非常に良い波動が出ているので思わず衝動買いをしてしまったのを思い出しました。


話は大本に戻りますが、時代の要請に依って教団は社会的に非常に大きな勢力となり、当時の知識人や軍内部にも浸透し、大本は政治的にも影響力を持つまでになっていきます。


しかし当時の政府からは恐らく皇太統的な意味合いだろうと思われるのですが、神話体系やその歴史観における当時の軍国主義的な政府との対立的な構図があり、王仁三郎の政治思想も危険分子とみなされたため、大本は官憲から徹底的に目を付けられ弾圧されて、王仁三郎以下千名近くが検挙、施設は破壊され尽くし関連組織も官憲により取り潰されてしまいます。


戦後になって大本は復活を遂げますが、ご多分に漏れず醜い後継争いが起こり訴訟問題にまで発展し、身内同士の争いによりそれぞれが別の教団を立ち上げ大本は分裂してしまいます。



続く









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