霊媒体質の人々 其の十七 ある宗教家の顛末 参

先生は自分より若干年上であったと思うのですが、当時五十代後半位にお見受けしましたけれども、先生には長年連れ添った旦那さんが居りました。


その旦那さんというのは九州出身の人で、いったいどの様ないきさつで先生と夫婦になったのかは分かりません、ただ旦那さんにはちょっと困った性分があり、昔からパチンコやギャンブルが大好きらしく先生もそのことについては苦労されていたようでした。


しかし自分が通っていた頃には、何時もその家で信者さんや来客の方にお茶をお出したり世間話をするなどの応対をされていて、如何にも九州人らしい大柄で明るい感じの人でした。


お邪魔した折りには昔のギャンブルの話も時々出てはいましたが、その癖はもう治まったのか当時は先生と一緒にいつも家に居るという感じでした。



自分が最後に先生のお宅に行ったのは、何かのお祭り事が有った大勢の信者さん達がみえている日でした。


今となっては何が原因であったのかをはっきりと思い出すことができません。


その日、大勢の信者さん達が部屋にいる目の前で、先生が旦那さんのことを思い切り叱責したのです。


自分には、叱責というよりも罵倒に近い感じの怒り方に思われ、あの大柄な旦那さんがまるで塩を掛けられたナメクジの様に小さくなって、しかも衆目の中、横で見ていて本当に可哀想でした。


たとえどんな失敗を旦那さんがしたにせよ、さらにその場では自分の方が立場が上であったとしても、相手は彼女の身内であり夫なのです。


自分は決して男尊女卑の考えがあるわけではありません、しかし彼女の言動には余りにも夫に対する思いやり、配慮というものがありませんでした。


後で二人になったところで怒りをぶつけるのならまだ分かります、しかし自分にはさすがにこの先生の感情のもっていき方は間違っている、人の道を外れていると思われてならず、そのことがあってからぷっつりと行くのを止めてしまいました。


後日、例の観て貰う事が大好きな知り合いから聞いたところによると、最近〇〇さん(自分の事)来てないけどどうしたんだろうという話が時折先生の口から出ていたそうですが、二度と行く気もなかったし、ある気になることもあったのでそのままにしていました。



続く












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