苦節○○年 世界に羽ばたく日本のメタルバンド 最終回 後編

今回の大須のエレクトリックレディランドでのライブはこの秋に発売された23枚目の新譜、「色即是空」の発売記念ツアーであり、新曲「さらば世界」のお披露目公演でもありました。(この曲もとてもノリの良い如何にもライブ受けする彼等らしいテーマ性のある曲ですので、是非聴いてみて下さい)


今回はベースの鈴木研ちゃんが腰の持病が悪化してしまい、長時間立つことが出来ないということでやむなく椅子に座ってのライブとなりました(文字通り人間椅子)が、後半に僧衣の裾の部分がはだけてしまい褌が途中から丸出しになってしまったので、それが気になってイマイチ曲に集中することが出来ませんでした(笑)。


演奏時間はおよそ二時間三十分程で、タップリと新曲だけでなく旧曲も沢山堪能出来、もちろん自分が人間椅子にハマる切っ掛けとなったあの名曲「無常のスキャット」もナマで聞くことが出来ました。

アンコールでは和嶋氏、ノブ氏とも和装とダボシャツからTシャツに着替え、鈴木氏も黒い僧衣を脱いで腰痛をおして椅子から立ちあがって演奏してくれました。


また、アンコール曲は都合四曲演奏され、何とサービス精神旺盛なハンドなのかと感激致しました。


今まで東西いろんなバンドのコンサートに行きましたけれども、演奏が終わったらサッサと帰るバンドもいたりしましたが(特に外タレに多い、外タレは出稼ぎの様にトットと仕事をして帰ろうというのが見え見えのグループと、ドップリ日本にハマって親日になるグループに分かれる様です)、10年前に岐阜市で見た山下達郎のコンサートと自分の中では双璧で、曲とMCを長時間たっぷり堪能出来ました。


今回は彼等がファンのことをとても大切にしているということがヒシヒシとこちらに伝わって来る本当に素晴らしいコンサートで、また彼等が名古屋に来ることがあれば是非とも行きたいと思いました。


曲間のMCトークがまたとても面白く、ベースの研ちゃんが粗大ごみで出ていた三味線を家に持ち帰ったところ突然体調が急変して悪くなってしまい、やむなく元の場所へ戻しに行ったら、その三味線は実はドラムのサイトウノブ氏の亡くなった身内の物だったという話もしてくれたのが自分的には高ポイントでしたが、和嶋さんはその口ぶりからどうやらそちらの世界の話については結構詳しい様でした。


アンコールも終わり、最後のご挨拶。



実は先日、自分が見るYouTubeのページに「人形椅子」という冗談のような名前のバンドがアルゴリズムであがっていて、今回それを思い出して再度検索を掛けたところ、呪いのお菊さん人形とか、車椅子に乗った人形が勝手に動き回るとかそういった怖い系の話がぞろぞろあがってきていささか閉口しましたが、その中にイカ天初出演時の「人間椅子」の映像もあがっており、今でも盛んに演奏される「陰獣」という曲を演っていて本当に驚きました。


彼等はデビューしてからずっと同じコンセプト、同じ信念を以て34年の間、演り続けてきたんですね。


時代に迎合せずに一時は葛藤に苛まれた時代も有ったのかも?しれませんが、時代のエネルギーがやっと彼等に追いついて来たということなのでしょう。


人間椅子は曲も独特で日本的な要素が多分にあり、ステージ衣装も如何にも日本的な和のバンドの様相を全面に押し出していますし、更にプログレの要素やロックの元祖であるイギリス、ヨーロッパのロックを散々聴いてきた耳の肥えた人達にも納得させられるだけの確かなテクニックも持ち合わせています。


数ある日本のバンドの中で「人間椅子」こそが日本を代表するドゥームロックの旗手として、日本の文化的な認知度の広がりとともにこれからますます世界でも活躍していくであろうという確信を自分はもっています。


彼等は言わば日本文化の音楽分野での広報大使なのですね。


これからも彼等の音楽を楽しみながら応援していこうと思っています。



「人間椅子」、エレクトリックレディランドでのコンサートレポート、終わります。






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