「ゴジラ ー1.0 / C」 最高でした!
人には其々いろんな特技のようなものが誰しもあると思いますが、自分は時間の段取りにはめっぽう強くて、事前の予想通り席に座った瞬間にちょうど映画が始まるという絶好のタイミングでした。
この映画は昨年の十二月に既に二度観ておりまして、白黒版も一月十二日から上映が始まるという事を既に知っておりましたので、今回のタイミングしかもう観る機会がないだろうということで、人生初の同じ映画を三度観るということになったのです。
内容については未だ未鑑賞の方がみえると思いますので、残念ながらここではあまり詳しくは書くことが出来ません。
しかし正直言いますと、全く同じフィルムなのだから然程は変わらないだろうという事前の予想とは裏腹に、ハッキリ言ってまるで別の映画を観ているような印象で、色を抜いただけでこうも感じ方が変わるのだろうかという驚きの連続でした。
ネットで調べるとただカラーから白黒へ色を反転させたというだけではなく、監督のお話によるとコマ割り単位で細かく濃淡の色の微調整をしたという事の様です。
スクリーンがカラーの場合には、画面全体の様々な色が視覚を通して脳に情報として大量にインプットされる訳ですが、それが濃淡だけの白黒だとその情報がより単純化されますので、遥かに脳内のイマジネーションを掻き立てられるのですね。
ですから画面の中の二次元の人達の感情が、そのシンプルさ故により強く観ている側の自分に伝わってくるのです。
これは主役のゴジラについても言えることで、カラー版よりも白黒の映像の方が遥かに視覚的に恐ろしく感じられました。
この映画は、ゴジラという存在を通して原子爆弾を作り上げた人間という存在の愚かさ、そして今なおそのツールを手放せないでいる大国達の国としての業の深さを擬人的に投影させているのです。
原子爆弾や水素爆弾などというものは使用したら最後、人類はおろかこの神の最高傑作である地球をも滅ぼしてしまうであろうことは、世界で唯一被爆した日本人だけではなく誰しもが分かっている筈なのに、人間というものは過去の歴史同様に何と愚かな事をいつまでも繰り返せば気が済むのでしょうか?
原爆の核実験が生み出したゴジラという存在が何度も再生して人間社会に襲いかかるのは、実は原爆や水爆を手放せないでいる人間達の存在を比喩的に象徴しているのです。
この映画はただ単に怪獣映画というだけではなく、日本人としての歴史的メンタリティや民族魂の特質、人間というものの業の深さ等々、映画というツールを使って最高に表現し得た傑作であると言えますが、だからこそ日本だけではなく世界中で大ヒットしたのも当然の事であると言えるのでしょう。
冒頭のゴジラの絵は「ゴジラマイナスワン白黒版」のノベルティとして映画館で限定で頂いたものですが、これは自分の映画史の記念として大切に飾っておこうと思います。
未だ観られていない方は是非一度、一度観られた方もきっとまた違った視点で必ずや何かを感じることが有ると思います。
「ゴジラー1.0」は老若男女全ての方が楽しむことが出来る稀有な映画なのです。
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