稲荷神社について考える                




前回は伏見稲荷大社についてお話を致しましたが、今回はイレギュラーですけれどもお稲荷さんについて書きたいことが有りますので、稲荷神社についてのトピックを立てて少しお話をさせて下さい。


伏見稲荷は一般的な認識では全国のあまたある稲荷神社の総本山的な位置づけになると思うのですけれども、自分は伊勢神宮の外宮宮域の勾玉池に隣接する茜稲荷(あこねさん)が個人的にはとても親近感が有りまして、それは何故かと言いますと、女流小説家で洒脱な文体でファンも多く居り、エッセイストでもある佐藤愛子先生の実体験に基いたノンフィクション小説、「私の遺言」のなかに茜さんが出てくるのです。


この小説は自分の座右の書と言っても良い位に嘗ては何度も読み返した大好きな名著なのですが、未だに読んだことがないという方は恐らく文庫本が出ていると思いますので是非ともご一読なさってみて下さい。


その内容については、佐藤愛子女史にまつわる北海道の別荘での体験を克明に記した全編霊的なお話満載なのですけれども、あまりにも荒唐無稽なお話故、初見の方はにわかには信じられないかもしれません。


しかし彼女が本の中で言ってみえる通り、全てが実際に彼女の周りで起こった実体験に基いたお話ですので、茜さんについても霊的な意味での役割というものが体験的に詳しく書かれております。


そしてお稲荷さんについては、自分は以前愛知県のあま市の篠田というところに住んだことがあり、同じ町域には「葛の葉稲荷社」という稲荷神社がありまして、そこへ御参りに行かせて頂いたことがありました。


何故そのお稲荷さんを自分が知ったのかと言いますと、自分には霊的な素養というものが幸いなことにありませんでして、そのかわりと言っては何ですが霊能のある人が自分の人生の周りに現れて、いろいろな霊的な体験を共有させてくれるのです。


これは自分の過去世の体験から、そういった人達と感応して自分の周りに吸い寄せているのだと思われます。


その人はマッサージを主とした整体をそこの街でやり始めたばかりで、近くの「葛の葉稲荷の神さん」が商売繁盛にご利益があるということで御参りに行っているという話を自分にしてくれたのです。


ことの由来は、美和町(現あま市)篠田字稲荷に昔、狐塚があり、「葛の葉稲荷社」と称して近郷にもその名が高く、多くの参拝者を集めていたそうです。


葛の葉稲荷と言えば狐女房の伝説がつとに有名で、浄瑠璃の題材にもなっておりますが、昔、安部保名という男が信太の森で傷を負った白狐を助け、のちに保名が病となったおり、恩返しとばかりに狐が保名のいいなづけの葛の葉に化けて看病し、ほどなく二人は結ばれ子供が生まれます。


しかし本物の葛の葉がそこに現れ、正体がばれた白狐は「恋しくば 尋ねてみよ 信太の森の うらみ葛の葉」の一首を書き残し、森の奥へと去っていった、というお話が狐女房の伝説として伝えられています。


彼曰く、篠田の「葛の葉稲荷神社」には笠を被った女性の霊人(正しくは幽界の存在だと思われます)が居り、商売についてのご利益を快く訊いて頂けるという話でした。


自分は当時、特に何かの商売をしていた訳ではなく産土神社でもありませんが、同じ町内でもありそういった話を聞いたのもなにかの御縁であると感じましたので、御参りをさせて頂いた次第でした。


当日は本殿脇に御酒をお供えさせて頂き、ご挨拶をさせて貰いました。


お稲荷さんは日本中に大小幾多の神社が有りますけれども、殆どの稲荷神社が商売繁盛に非常にご利益があると言われています。


続きます

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