何故此の世に戦争が無くならないのか? 中編 イラン対イスラエル・アメリカ
この件について詳しく語り出すと幾つものチャプターを費やさなくてはならなくなりますので、時系列的になるべく簡潔にお話をすると、根本的な原因を作ったのはイギリスで、二枚舌外交でアラブとユダヤに対して空手形の約束をした事が今回の両者の骨肉の争いに至っているのです。
もともと彼の地、パレスチナにはユダヤ人国家があったのですが、ローマ帝国に滅ぼされて彼等はその地を追われ流浪の民となりました。
その後彼等はヨーロッパなどで、長きに渡って差別や迫害という苦難の歴史を歩むこととなりました。
時代が至って第二次大戦後、ユダヤ人の間で、生まれ故郷であるアラブの地にユダヤ人国家を建設しようというシオニズム運動が起こり、約束の地であるパレスチナにイスラエルが建国されるのですが、今度はそこに住んでいたアラブ人達が難民となってしまったのです。
そのゴタゴタが未だに続いていまして、火種が現在まで燻ぶっているというのが現状なのです。
普通に考えれば共存の道を探れば良いのではないかと思われるかもしれませんが、今のイスラエルの首相であるネタニヤフは狂信的なユダヤ教至上主義者でして、共存どころかイスラエルの地の拡大という妄想に取り憑かれているのですね。
事実彼はパレスチナ自治区内で、ユダヤ人の入植という名目で多数のアラブ人の弾圧、殺害を行っています。
それに対して抵抗してイスラエルと交戦してきたのがヒズボラという組織でして、彼等の後ろ盾となって武器を援助してきたのがイランという訳なのです。
イランはペルシャ人の国でアラブとはまた人種が違いますし、同じイスラム教でも宗派が違うのです(ペルシャはシーア派、アラブはスンニ派)。
そしてアメリカと言えば、経済的にある意味ユダヤ人に強力に支配された国ですので、特にトランプはユダヤのバックアップを受けていますからイスラエルに対して非常に気を使っているのです。
イスラエルが既に核兵器を保有しているのは公然の事実なのですが、不倶戴天の敵であるイランにだけは絶対に核の保有を許さないので、去年と今年の二回に渡ってイランの核施設をアメリカと供に攻撃したのです。
そして今回のアメリカの行動には、実はもう一つの隠された裏の思惑が有るのですね。
1971年に、ニクソンショックといわれる経済政策がありまして、これはドルと金の交換を停止して固定相場制から変動相場制へと移行したのですが、これは何を意味するのかと言いますと、金に兌換出来る米ドルがただの紙の紙幣になったということなのです。
そこでアメリカが考え出したのは、米ドルの価値を保持するために、石油の決済を世界の基軸通貨である米ドルに限るというシステムを作り上げたのです。
ところがアメリカと敵対する国などからそれに反発する政府が現れて来まして、イランもまた米ドルから中国の人民元への決済へと移行したのです。
これを許せばアメリカにとっては米ドルの価値を脅かすことになり、放置しておけばアメリカ経済を崩壊させる要因ともなりますので、絶対に容認することが出来無い事態だったのですよ。
実はアメリカは同じ理由で、これまでいろんな国を潰してきたのです。
古くはサダム・フセインのイラクに国際法違反の兵器を持っていると因縁をつけて国を潰滅させ、フセインを死刑台に送っていますし、アラブの春でもペトロダラー支配から脱却しようとしたリビアのカダフィーを殺害しています。
近年ではロシアや中国に対する制裁も同じ理由ですし、今年1月、ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束と言えば聞こえが良いのですが実質的に拉致したのも、彼がペトロダラーシステムを壊そうとしたのを別の理由をつけて阻止したのです。
アメリカという国は、何が正しいのかという規範を世界に示す為ではなく、己のエゴや利益を忠実に押し通す為に他国に対して振る舞ってきたというのが事実なのです。
後編へ続く。
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